1日目 7月28日(月)
教師の手作りアートカードのワークショップと
授業での活用を協議・発表する研修会
講 師:東京都現代美術館学芸員 教育普及担当 郷 泰 典 氏
指導・講評:町田市立金井小学校 副 校 長 松永かおり 先生 |
■ ご挨拶
まず、はじめに都中美前会長の菊田寛校長先生からご挨拶がありました。次に、東京都教育委員会の指導主事秋山先生からご挨拶をいただきました。さらに、教科研究部担当の中村一哉校長先生から研修の趣旨についての説明がありました。最後に、都中美研究局長の長尾菊絵先生から、研修の流れと意図について説明がありました。
「都中美の研修」についての詳細はPDF版をご覧ください。
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@ 研修
「手作りアートカードの可能性」
講師: 郷 泰典 氏
今回のアートカードづくりのアイデアは「大量に残った美しい展示会のパンフレットをうまく鑑賞に利用できないか」という思いから生み出されました。作り方を覚えるだけではなく、作ることを通じて発見や疑問があるかもしれない。事前学習でアートカードを使うこともあり、鑑賞の可能性を探るように研修して欲しいとお話がありました。実際にサンプルのアートカードを使って自己紹介をし、なごやかな雰囲気の中アートカード作りが始まりました。
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A 制作
「アートカードを作ろう」
1人10枚程度のアートカードを作ります。材料は展覧会のフライヤー、色紙、のり、はさみ、ラミネートフィルム、ラミネーターです。自分の好きな作品をアートカードにしていきます。先生達は、夢中になって制作をしていました。あっという間に10枚が完成です。出来上がったカードを見てみると、個性が表れています。さて、これからどんな活用ができるか考えて実践してみます。
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B 活用 グループワーク1
「アートカードで遊ぼう」
アートゲームをやってみる・アートカードでできることを考える
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C 発表1
アートカードでできることをシェア
グループごとに発表 3分×8チーム
各グループでゲームを行った後、どんなゲームができたか、また感想を発表しました。「YES・NO 名探偵ゲーム」、「似たものつながりゲーム」、「神経衰弱」などが挙げられました。実践してみてよくカードを見る力、他人の意見を聞く力、想像力が高められる、個々の価値観を知ることができるなどの感想が多くでました。また、ゲームにしなくても授業の導入にも使えるのではないかという意見も出されました。とにかく、その活用方法は非常に広いものになりそうです。
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■ まとめ
講 評
講師: 東京都現代美術館学芸員 教育普及担当 郷 泰典 氏
チラシを選ぶところから鑑賞が始まっている。
どれを切ろうか考えている。
生徒がアートカードを作っている時から、個性が表れる。
作っている段階での生徒の様子をよく観察しておかなければならない。
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D グループワーク2
「手作りアートカードの可能性を広げよう」
実際に教師の立場になって アートカードを使って授業をどのように展開していくかを、各グループで討議しました。授業のねらい、評価まで考え、現実的に活用できる方法を話し合いました。 |
E 発表2
指導案・討議結果の発表「各グループでの話し合いによる成果のシェア」
5分×8チーム
各グループでの話し合いの成果を全体で発表し、共有しました。 「校内美術館プロジェクト」「修学旅行前の事前学習」「百人一首のように読み札を作る」など様々な活用例が発表されました。
詳しくはPDFをご覧ください。
どのグルーからもバラエティに富んだ様々なアイデアが発表され、充実した討議であったことが伝わってきました。
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■ 指導・講評
指導・講評:町田市立金井小学校 副 校 長 松永かおり 先生
松永先生が実際にアートカードを活用した事例をもとに、以下のようなご指導をいただきました。
●アートカードの有効性について
アートカードの活動を行うことにより、生徒の関心・意欲を増し、主体的な活動へと導くことができる。また、生徒は活動しながら考えたり、友達と話したりしながら、作品の細部に至るまで鑑賞することができる。 ただし、ゲーム的な要素が先行しすぎると、アートカードを活用する目的が不明瞭になってしまう可能性もある。アートカードは学習のねらいを達成するためのツールであり、アートカードによる活動そのものが学習のねらいとなるものではない。
●B鑑賞におけるアートカードの活用事例
作品に対する見方や感じ方について深く考えたり、友人と話し合うことで、多様な見方や感じ方、捉え方に気付き、交流を深めながら鑑賞を行ったりすることができる。
●A表現におけるアートカードの活用事例
例えば、発想や構想の能力や、創造的な技能を高めるために、導入時などに、題材に関連する作品や、様々な表現の技法等を鑑賞するなどが考えられる。
●評価について
評価は題材のねらいに則して、学習活動全体を捉えて、適切な場面で、適切な方法で行う必要がある。よって、アートカードの活動だけを取り出して評価するのではなく、アートカードを用いて活動した結果、それぞれの題材で求める力の実現状況がどうだったのかについて評価することが大切である。
●発達段階に応じて
同じアートカードであっても、学習のねらいに応じてカードゲームのルールを変えるなど、目的に合った活用方法を工夫していくことで、学年を越えて応用することができる。
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