VTS(Visual Thinking Strategies)の実習
グループワーク@
参加者が6つのグループに別れて、展示室で学芸員さんによるVTSを体験しました。「何がおこっていますか。」「それは、どこからそう思うのですか。」という問いに誘われて、子どもの気持ちになって、どんどん意見を言い、気づいたことを話しました。話が出つくしたころ、「今日は、みなさんで一緒にこの作品について感じたことを話すことができました。これで終わります。」と終了。いつもの授業では、ここから、説明したり、知識を伝えたりするので、ちょっと、驚きました。でも、この終わり方は、余韻が残っていて、イメージが広がっていくようで、とても気持ちがよいと感じました。
A: ファシリテーター 寺島洋子 作品:関根正二「三星」
B: ファシリテーター 北村仁美 作品:下村観山「木の間の秋」
C: ファシリテーター 藁谷裕子 作品:小杉未醒「水郷」
D: ファシリテーター 藤田百合 作品:ゴンチャロヴァ「スペイン女」
E: ファシリテーター 斎藤佳代 作品:小磯良平「練習場の踊り子たち」
F: ファシリテーター 濱脇みどり 作品:国吉康雄「秋のたそがれ」
グループワークA
次に、さまざまな作品を2〜3人の小さなグループで鑑賞しながら、実際に自分がファシリテーターになったとしたら…、子どもだったらどんなこと話すかな…などと意見交換しました。グループワーク@で、心のストレッチがすんでいるせいか、たくさん気づきが会ったように思います。
グループワークB
そして、作品を選んでVTSのファシリテーターと子ども役に分かれての、実践をしました。とても楽しく、どんどんイメージが広がって終わったときには「あー、おもしろかった!」でした。ファシリテーター体験をした先生方の感想をご紹介します。
☆ファシリテーターをやってみて、感じたことは2つあります。1つ目は、中立の立場で進行させるはずが、つい自分の思い出が出てしまったり片寄った見方になったりしがちだったことです。2つ目は、最後、まとめなければという気持ちが出てしまったことです。鑑賞を通して、いろいろな人の見方と共に作品を味わえばよいと思うと気が楽になりました。楽しく鑑賞できました。
(大門中 土田貢司)
☆ファシリテイトするということは、潮目を読んで流れにのるようなものだと感じました。出てきた見方をこちらで言いかえ、進化させていく作業はこどもたちの批判的思考能力を向上させると共に受容を示すことだと思います。そうして生まれた流れの中で、一人一人が見える鑑賞の授業を行いたいと思います。VTSは「見ること」の入り口として参考になりました。
(御蔵島村立御蔵島中学校 太田水里)
☆VTSには大まかなルールがあった。「作品」と「鑑賞者」を繋げるという究極の目標のために、話のまわし方を工夫することと、主観を入れてはいけないことでいたがこれが難しく感じました。ひとつの作品について、多角的に時間をかけて話していくと、どんどん鑑賞が濃くなっていきました。仕切りをする人が作品の背景について深い理解があると、最後に「答え合わせ」的な楽しさがあったと思います。中学生は作品の背景、作者の生い立ち、時代や国の文化などを知りたがると思うし、教えるよい機会を作ることができると思います。
(八王子市立七国中学校 清水信博)
☆自分が作品への思いこみがあると中立な立場で話すのが難しいと思いました。(自分と違う見方の意見が出ると、思わず「すごい!!」と表情に出てしまいます。)中立の立場とりながら鑑賞者の発言を盛り上げていくのは大変だと思いましたが、いろいろな意見を聞くことができるVTSは面白いと感じました。
(大田区立雪谷中学校 堀内有子)
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