平成20年度 美術館研修
テーマ: 「本物を見ることの楽しさ、大切さ」
国立西洋美術館website http://www.nmwa.go.jp/jp/index.html
内容: 鑑賞教育充実のための、教員による生徒向けのギャラリートークの研修
日時: 2008/7/31(木)9:30~15:40
会場: 国立西洋美術館 常設展示室/講堂/会議室
参加者: 教員/約40名 生徒/約35名 (江東区立深川第一中、杉並区立高井戸中、武蔵野市立第三中)
スケジュール
9:30 受付
9:45 概要説明
10:00 常設展示室でギャラリートーク
10:45 グループディスカッション
12:00 グループディスカッションの結果をグループごとに発表
13:00 コロー展ガイダンス
13:20 昼食
14:30 コロー展鑑賞
15:30 終了
ギャラリートーク
生徒を8~6名を5つのグループに分けて、ギャラリートークを行いました。 ギャラリートークの時間は約45分間で、2点の作品を鑑賞をしました。 作品は、国立西洋美術館の常設展示室にある作品から選ばれています。
ギャラリートーク : 1グループ 生徒8~6人 45分間で2作品
講堂にてグループディスカッションの結果を グループごとに発表
< Aグループ >
トーク: 杉並区立高井戸中学校 教諭 高崎 美也子 氏
作品①: ロダン 『オルフェウス』
作品②: グエルチーノ 『ゴリアテの首を持つダヴィデ』
この二つの作品を、2年生男子に鑑賞してもらう。彫刻は全体をよく見て、「一体この青年の嘆きは何なのか」、また「絵画の中で青年は何を喜んでいるのか」などこの二つの感情を少年たちにじっくり見ることで考えてもらいたいと思います。
< Bグループ >
トーク: 武蔵野市立第三中学校 教諭 三浦 悦子 氏
作品①: ユーベル・ローベル 『マルクス・アウレリウス騎馬像、トラヤヌス記念柱、神殿の見える空想のローマ景観』
作品②: クロード・モネ 『睡蓮』
① この絵には、ないが描いてあるだろうか?泉の水盤のそばにいる人たちは何をしているのだろう?マルクス・アウレリウスって何者?トラヤヌス記念柱の根元で炊いているのはお昼ご飯かな?この神殿は誰の神殿なのだろう?遠近法が使われ、とても写実的な風景だ。でも題材には『~空想画』と描いてある。「あれ?」
② この絵は睡蓮の絵だ。題名にはそう書いてある。どこが花でどこが葉?このゆらゆらした緑は何?少しずつ離れてみよう。そうすると見えてくる。どのあたりが岸辺で、水面や、木陰まで見えてくる。モネの庭のどのあたりから描いたか、想像できそうだ。まぎれもなくモネはこの水面を見ながら、描いたに違いないと思う。本物だから見えてくる。
< Cグループ >
トーク: 日野市立平山中学校 教諭 河田 あすか 氏
作品①: バルトロメオ・モンターニャ(に帰属) 『城のある風景』
作品②: ポール・シニャック 『サン=トロペの港』
常設展示室から「風景つながり」で絵の描き方、時代が違うこの2点を選び、ギャラリートークをすることにした。最初に『城のある風景』を離れたところから見て、何が描かれてあるのかを子どもたちに探してもらう。ある程度見つかったところで、近づいて、さらに何が描かれてあるか、ストーリーを作ってもらいながら鑑賞する。また、円形の画面もなぜなのかを考えてもらう。次に、『サン=トロペの港』を近くから見て、好きな色、好きな部分を探しながら、何が描かれているかを見る。その後、離れてみることで、発見できたこと、面白い部分を探し出してもらう。ここでは「○○みたい」のような見方もしてみたい。最後に『城のある風景』との比較をする。時代や表現方法(筆の使い方等)の違いや気に入った部分について話し合えればと考えている。
< Dグループ >
トーク: 国立西洋美術館 教育普及課 学芸員 藁谷 裕子 氏
作品①: ヤーコプ・ヨルダーンス(に帰属)『ソドムを去るロトとその家族』
作品②: クロード・モネ『舟遊び』
描かれた時代、絵の主題、描き方などいろいろな部分で違いのある二作品を選んでみた。絵をじっくり見ることによって、子どもたちが自分で何かに気づいたり、発見したり、考えたりして作品に興味をもってもらえるよう、その手助けができればと願う。また、美術が好きな人だけでなく、作者や絵の主題について全く知らない人がどうしたら楽しめるかを考慮した。同時に「何かを知りたい」という欲求が中学生にはあると考え、作品から広がる情報の知識提供にも心がけたい。
< Eグループ >
トーク: 国立西洋美術館 教育普及課 学芸員 寺島 洋子 氏
作品①: マリオット・ディ・ナルド『聖ステパノ伝』を表した祭壇画プレデッラ3点
作品②: ジャン・フランソワ・ミレー『春(ダフニスとクロエ)』
仲間と一緒に作品を読み解いていく面白さを体験し、自分らしい見方・捉え方を促すトークです。描かれてあるものを確認し、それをもとに作品の中におきていることを推理、想像します。さらに、トークで取り上げる2点の作品を比較しながら、絵画の技法や表現について考えます。自分の目で作品をじっくり見ること、また、他者の考えを聞くことで感じ方が広まり、そして深まることを期待します。
国立西洋美術館では、希望があれば、ギャラリートークを行っているそうです。すでに、授業や、部活動など、さまざまな方法で利用されてるようです。お申し込み等については、国立西洋美術館のHPをご覧ください。
記録・文責: 中野区立中野富士見中学校 志手 伸圭