平成30年度 夏季研修
2日目
「 育てたい美術の力 」~みつめる つくりだす つながる~
研修のねらい:育てたい資質・能力を明確にし、実現のための手立てを共に考えることで、一人一人の授業力アップを図る。
期日:平成30年8月10日(金) 9:00~16:30
場所:葛飾区立大道中学校
本研修会は、今回で6回目となる、参加者が作品を持ち寄って「授業を通して身に付けさせたい力」について考え、授業力を向上させようとするものです。連日猛暑の続く中、約40名の方に参加していただきました。
■次第
1.開会(8:50~9:00)
2.グループワーク①(9:00~10:45)
3.情報交換(11:00~12:00)
4.関ブロ大会テーマについて(13:00~13:10)
5.グループワーク②(13:00~14:30)
6.講演(14:45~16:20)
7.閉会(16:20~16:30)
1.開会(8:50~9:00)
〇会場校あいさつ
都中美 副会長
葛飾区立大道中学校長 殿村 靖廣 先生
〇東京都教育委員会あいさつ
東京都教育庁指導部 指導企画課
指導主事 菅野 恭子 先生
〇都中美の研修について
都中美 教科研究部担当
板橋区立第一中学校長 増田 裕子 先生
〇研究の経緯について
都中美 教科研究部長
西東京市立青嵐中学校 濱脇 みどり 先生
2.グループワーク①(9:00~10:45)
今回のグループワークは、持ち寄った作品は教室内に掲示し、A~I の9グループに分かれて活動を行いました。
午前は、ファシリテーターが中心となって、作品を見ながら、「題材を通して身に付けさせたい力」や「その手立てや工夫」、「成果や課題」等について、ワークシートを基に協議を行いました。
3.情報交換(11:00~12:00)
グループでじっくり話し合った後、他グループの話し合いの内容を共有する時間もありました。各グループの作品展示場所に、話し合った内容(ワークシート)が掲示され、共有できるようになっていました。
4.関東ブロック大会テーマについて(13:00~13:10)
「みつめる つくりだす つながる」
関東ブロック大会 研究局長
国立市立国立第二中学校 長尾 菊絵 先生
長尾先生からは、関東ブロック大会のテーマについて説明がありました。その後のグループワークは、そのテーマをもとに、授業改善について考えました。詳細については資料(PDF版)をご覧ください。
5.グループワーク②(13:10~14:30)
〇グループワークについての説明
都中美 教科研究部
目黒区立東山中学校 濱 夏子 先生
午後は、普段、自身が行っている題材が、関東ブロック大会のサブテーマである「みつめる」「つくりだす」「つながる」のどの部分に焦点が当てられているかについて考えながら、協議を行いました。
〇グループ協議
協議の中では3種類(みつめる、つくりだす、つながる)の付箋を用意し、授業の中のサブテーマに当てはまる部分を書き出して、グループで共有しました。そして、それぞれのサブテーマを達成するために、どのような工夫が必要なのか話し合いました。
〇グループ発表
グループで協議した内容について、3グループから発表していただきました。発表を聞きながら、自身の授業の中でどのような部分に課題があり、どのような部分で発展させることができるのか考えることができました。
6.講演(14:45~16:20)
今回の研修会では、お二人の先生からご講演をいただきました。
お二方の先生からは、「育てたい美術の力」について以下のようなお話をいただきました。
東京都教育委員会 主任指導主事 松永 かおり 先生
松永先生には本研修を、研修当日までの準備をすることにより自らの取組を振り返る、自らの取組を紹介することにより取組による成果と課題を明確にする、協議による他者評価により客観的な視点からの授業評価をする、新たな知識の獲得により積極的な授業改善をするという、4つの視点で価値付けていただきました。また、研修で使用したワークシートを今後の授業改善につながるよう、学習指導要領に照らしてご助言いただきました。
その後、平成29年度改訂の趣旨を成果と課題と学習指導要領実施状況調査の結果から、新学習指導要領で、教員が意識すべき点についてご教示いただきました。
文部科学省初等中等教育局 視学官 東良 雅人 先生
・「A表現」の指導の工夫・改善
今回の改訂では,主体的で創造的な表現の学習を重視し「A表現」(1)において,「ア 感じ取ったことや考えたことなどを基にした発想や構想」及び「イ 目的や機能などを考えた発想や構想」の全ての事項に「主題を生み出すこと」を位置付けている。そのため,表現の活動においては,生徒自らが強く表したいことを心の中に思い描くことができるような題材の設定や指導の工夫が求められる。
・「B鑑賞」の指導の工夫・改善
鑑賞は単に知識や定まった価値を学ぶだけの学習でなく,知識なども活用しながら,様々な視点で思いを巡らせ,自分の中に新しい価値をつくりだす学習である。今回の改訂では「A表現」と「B鑑賞」の相互の関連を図り,鑑賞で学んだことが表現に生かされ,表現で学んだことが鑑賞に生かされるような学習活動の展開が求められる。
・活動を通した学びを見取る
美術の学習においては、結果だけでなく,学習過程の学びを重視することが求められる。特に活動を作業として捉えるのではなく,活動を学びとして捉え,そのことを生徒と共有することが大切である。学びを生徒と共有する手立てとして、題材名を「学び」と「活動」の両面から考えて示し,生徒に題材における学びの理解を深める工夫などが考えられる。
・最後に
今の子供たちやこれから誕生する子供たちが,成人して社会で活躍する頃には,我が国は厳しい挑戦の時代を迎えていると予想される。生産年齢人口の減少,グローバル化の進展や絶え間ない技術革新等により,社会構造や雇用環境は大きく,また急速に変化しており,予測が困難な時代となっている。また,急激な少子高齢化が進む中で成熟社会を迎えた我が国にあっては,一人一人が持続可能な社会の担い手として,その多様性を原動力とし,質的な豊かさを伴った個人と社会の成長につながる新たな価値を生み出していくことが期待される。このことから,「社会に対応する子供」の育成に止まらず「社会をつくる子供」を育てていくことを美術科は目指していくことが大切である。
7.閉会(16:20~16:30)
〇謝辞
都中美 教科研究部担当
西東京市立明保中学校長 矢野 尊久 先生
〇閉会のあいさつ
都中美 副会長
葛飾区立大道中学校長 殿村 靖廣 先生