平成30年度 夏季研修
「 実物の美術作品を活用した鑑賞の授業について 」
研修のねらい:美術館を活用した対話による鑑賞を通して、鑑賞の能力を高めるための指導スキルアップを図る。
期日:平成30年8月6日(月) 9:15~16:30
場所:府中市立美術館
本研修会は昨年に引き続き、府中市美術館、東京都教職員研修センターと連携しての実施となりました。連日猛暑日が続く中、約60名の方に参加していただきました。
■会次第
1.開会(9:30~)
2.講義(10:00~10:40)
3.グループワーク「プラン作成」(10:45~12:30)
<昼食休憩:12:30~13:30>
4.中学生とのギャラリートーク (13:30~15:00)
5.ファシリテータ経験を通してグループでの振り返り
(15:00~15:20)
6.グループからの発表と今後の授業に生かす力の共有
(15:20~15:30)
7.指導講評及び講義
「これからの鑑賞教育と美術館との連携」
8.閉会(16:30)
1.開会(9:30~10:00)
〇都中美 あいさつ
東京都中学校美術教育研究会会長 練馬区立三原台中学校長 江川 誠志 先生
〇府中市美術館 あいさつ
府中市美術館 副館長補佐 志賀 英孝 氏
〇都中美の研修について
東京都中学校美術教育研究会研究担当
西東京市立明保中学校長 矢野 尊久 先生
〇研究の意図
世田谷区立奥沢中学校副校長 三浦 悦子 先生
2.講義「ギャラリートークとは」(10:00~10:40)
講師:府中市美術館 教育普及担当主査 武井 利史 氏
ギャラリートークについて、以下の4つについて講義をしていただきました。
1 府中市美の鑑賞活動
2 鑑賞教育を考える
3 ギャラリートークの提案
4 美術作品を鑑賞する意味
3.グループワーク「プラン作成」(10:45~12:30)
〇ファシリテーターの紹介
〇グループワーク
ファシリテーターを含めて5~6人で10グループに分かれての活動でした。鑑賞作品はグループごとに割り振られており、各グループで、ファシリテーターが中心となってギャラリートークを行いました。 そして作品や言葉かけのポイントを確認し、参加者一人一人が実際にギャラリートークを実践しました。実際に目の前の作品を鑑賞して、生徒と同じ気持ちになったり、鑑賞を楽しんだりすることで、新たな考え方や授業に生かせるヒントを得ることができていました。
4.中学生とのギャラリートーク (13:30~15:00)
Aチーム:13:30~14:15
Bチーム:14:15~15:00
午後は中学生約60名を招いて、中学生を対象にしたギャラリートークを実践しました。参加教員は持ち回りでファシリテーターとなり、午前中に鑑賞した作品の前で、子供たちが来るのを待ちます。子供たちは、5~6人のグループで、ファシリテーターのいる作品を順番に回っていきます。子どもたちも最初は緊張した面持ちでしたが、会話を重ねるごとに笑顔となり、自分の考えを楽しそうに発表している様子が見られました。また、作品によってどんどん意見が出るものもあれば、なかなか意見が出ないものもあり、作品選びやファシリテーターとしての声掛けの難しさなども感じられました。
5.ファシリテーター経験を通してグループでの振り返り(15:00~15:30)
ギャラリートーク後は、作品を目の前にして20分程振り返りを行いました。
6.グループからの発表(2グループ)と今後の授業に生かす力の共有(15:30~15:40)
全体を代表してふたつのグループから、今日のギャラリートークの振り返りと成果、課題にそれぞれ発表がありました。各グループからは以下のような意見が出ました。
・他の生徒に共感してもらったときや自分と全く違う意見が出たときに、生徒の表情が変わった。
・全く話さない生徒がいた場合、「○○に見える?○○と感じる?」など具体的な声掛けをした。
・生徒の意見を均等に受け止めることや、生徒相互の気づきを共有しあうことが大事と感じた。
7.指導講評及び講義 (15:40~16:30)
「これからの鑑賞教育と美術館との連携」
講師:玉川大学 非常勤講師 中村 一哉 先生
中村一哉先生からは、活動の過程における学びについて以下のようなお話をいただきました。
「とくに鑑賞活動の中では見方や感じ方を広げて深める活動を行い、生活や社会の中の美術や美術文化と豊かに関わる資質・能力を育成することがねらいである。ギャラリートークの活動もそのねらいに結びついていくことが大切である。学習指導要領が改訂されたが、今後、教師は鑑賞を通して「思考力・判断力・表現力等」を育成するために問いかけのスキルを身につけ、生徒の思考に寄り添う授業をデザインしていってほしい。」
8.閉会(~16:30)
〇謝辞
町田市立薬師中学校長 中村 伊佐夫 先生