ホーム≫ 研修会≫ 日本の伝統・文化の理解と実技指導の充実

 研修報告  H22.8.17(火)
記録・文責 都中美広報部 松尾 英治(大田区立貝塚中学校)

都中美研修会 「中学校美術教育における日本の伝統・文化の理解と実技指導の充実に向けて」

 

■期日:7月26日、7月27日
■会場:都立工芸高校
■講師:都立工芸高校教諭
■ねらい:
新学習指導要領の重点としても示されている「日本の伝統・文化の理解」に向けて、日本の美術工芸の理解を通して、生徒への指導の充実を図る。

 

工芸高校の先生方のご協力により、日本の伝統・文化の理解に向けて金属加工の研修会を実施しました。

鍛金によるオリジナル銅皿製作

内容マシンクラフト担当鈴木先生の指導で2日間(計7時間)で18.25cm×18.25cm、厚さ1mmの銅板で皿の制作をしました。下絵デザインをし、それをスプレー糊で銅板に貼り付け、余白を金切りばさみや糸鋸でカットします。ところが、思うようにはさみは回らず、糸鋸の刃はポキポキ折れ、我が能力の限界を感じ、デザインを簡略化し、何とか切り終え焼き鈍して、一日目を終了。2日目はハンマーで模様打ち、皿のくぼみを作り、磨き、ムトウハップで着色、蜜蝋を塗り完成。参加者一同完成でき、苦労の結晶を愛で喜びました。

  

(江東区深川第四中学校 ア美也子)

黄銅板(真鍮板)によるハンドメードバングル製作

《材料について》
受講者に配布された黄銅(真鍮)板の寸法は350×20×t2.0です。綴りひもを使って自分の腕周りを測ると、男性で17p程度、女性で16センチ程度ですので、2本取ることができます。

《工程について》
まずはグラフ用紙にデザインを描き、コピーを取った後スプレー糊で真鍮板に貼り付けます。次に糸のこで切り抜いていきますが、穴開け作業が必要な場合は卓上ボール盤で糸のこの刃が通るくらいの穴を開けます。切り抜き終えたら棒ヤスリをかけ、側面に角が残らないよう丸くなるように研磨します。つづいて、布ヤスリの粗いもので磨き、だんだん細かい布ヤスリで磨いていきます。磨き終えたら万力に固定した治具に真鍮板を乗せ、木槌で叩きながら変形させます。楕円形になるように形を整えたら、ピカールで仕上げの研磨を行うか、マーカーペンで模様を描き、エッチングの液につけて腐食させることで模様をつけることもできます。最後に重曹で脱脂をして完成です。

《感想》
手道具の糸のこは、焦ったり、力でぐいぐい切っていこうと思ったりすると、なかなか思うように切れません。ゆったりとした気持ちで、手に伝わってくる金属が切れる手応えを感じながら丁寧に仕事をすると、いつの間にか切れているという具合です。工芸とは、素材を感じながら自分の考えを形にしていくもので、なかなか思うようにはいかない素材の存在を通して、作品に自分そのものが表れてくるのだなと感じました。

(町田市立南大谷中学校 藤嶋太一)

『コースター制作』

【制作内容】 
@100mm×100mm×1mmの真鍮板を糸鋸で任意の形に切り抜く
A切り抜いた部分に同じ形に切った銅板をはめ込む
Bはんだで2種類の金属を接着する
C表面を布やすりで平らにする
D表面処理をし、コルクに貼り完成
(今回の研修では、時間の都合でCまででした)

【感想】
 「忍耐」この一言に今回の研修は集約されます。まず真鍮板の切り抜きですが、思うように切れません。焦ると刃を折ってしまい、心の中で「御免なさい」と言いながら新しい刃をつける時に、美術が苦手な子の気持ちが少しわかりました。2時間も糸鋸を挽いて腕がかなり痛くなりました。次に銅板がはまらず、棒やすりで調整しましたが、こちらがはまれば、あちらが入らず、ここでもまた美術が苦手な子の気持ちがよく分かりました。これで初日終了。
  二日目は、はんだ付け後、はみ出したはんだを真っ平らにするために布やすり80番で磨きに磨きました。3時間も磨き続け、腕と集中力が限界になりかけた頃ようやくはんだの出っ張りがなくなってきました。目の細かいやすりに入ろうとした時に時間切れ。高校の授業ではもっと磨き込むと伺い、頭の下がる思いで研修を修了しました。

(中野区立北中野中学校 藤田 敦子)