平成29年夏季研修1日目

平成29年度 夏季研修
夏季研修「 未来に向けて美術教育のさらなる一歩 - 感じて つくって つなげて -」

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期日:平成29年8月7日(月)・10日(木)8:50~16:45
場所:1日目・府中市立美術館 2日目・荒川区立諏訪台中学校
平成29年度の夏季研修会は8月7・10日の2日間、府中市立美術館と荒川区立諏訪台中学校にて実施されました。

今年も連日猛暑日が続く中、1日目の参加者100名、2日目は約60名と、大勢の方に参加していただきました。
本研修会では、1日目は府中市美術館の展示作品を使った鑑賞活動に関する研修が行われ、2日目は生徒作品を持ち寄ってのグループ協議と、文部科学省初等中等教育局教科調査官の東良雅人氏の講演が行われ、2日間にわたって大変充実した内容となりました。
また府中市美術館での「美術館を活用した対話による鑑賞研修」は、今年度より東京都教職員研修センターとの連携研修となりました。

1日目 8月8日(月)
「美術館を活用した対話による鑑賞研修」
対話による鑑賞を体験し、グループ協議を行い、美術館に来館した中学生に対話による鑑賞を実践します。また本研修では、美術館所蔵作品を活用し、教育普及学芸員の支援を受けて、生徒の効果的な鑑賞活動のための授業のあり方を研究することが目的となっております。

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講師:府中市立美術館 教育普及担当主査 武居 利史 氏
指導・講評:前 府中市立府中第五中学校校長 中村 一哉 先生
■ ご挨拶
まず、はじめに東京都教職員研修センター研修部教育経営課統括指導主事 松永かおり 先生よりご挨拶がありました。次に都中美会長の練馬区立三原台中学校校長 江川誠志 先生からご挨拶がありました。次に、府中市美術館副館長補佐 志賀英孝 様からご挨拶をいただきました。さらに、教科研究部担当の西東京市立明保中学校校長 矢野尊久 先生から研修の趣旨についての説明がありました。最後に、都中美研究局長の西東京市立ひばりが丘中学校 長尾菊絵 先生から、研修の流れと意図について説明がありました。「都中美の研修」についての詳細はPDF版をご覧ください。

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① 講義

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講師:府中市立美術館 教育普及担当主査 武居 利史 氏
武居氏には本日のギャラリートークについて大きく4つ、
1府中市美の鑑賞活動
2鑑賞教育を考える
3ギャラリートークの提案
4美術作品を鑑賞する意味
についての講義をしていただきました。

② グループワーク

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午前中は各グループのファシリテーターが中心となりギャラリートークを行い、目の前の作品を鑑賞しました。
あるグループでは、ファシリテーターの「この研修に参加した動機は?」という問いに、様々な答えが返ってきました。
「民間企業から教員となり、鑑賞教育について勉強したかった。」
「言葉にすることが苦手な生徒に対して、どのように支援したらいいか考えたかったから。」
「美術の教員となってから長いが、いまだに鑑賞に対し苦手意識があるので、それを変えたかった。」
次に実際に鑑賞を行ってみました。
「何が描かれている?」
「どんな色?」
「どんな形?」
といった簡単な質問に対しても、ただ言葉で説明するだけではなく
「体を使って説明してみて」
と言うと、
「こ~~~んな形」と手を大きく動かして説明したり、参加者が笑顔になり、発言しやすい空気に。
「触ってみたらどんな感じ?」
「においは?」
「季節や時間は?」
などと質問を重ねるごとに、描かれていない画面の外の風景を想像して説明したり、登場人物の心情を考えたりなど、だんだんとトークが盛り上がっていきました。一通り鑑賞した後に、
「ギャラリートークを行う前と行った後だったら、行った後のほうが作品を好きになった!」
という言葉も出ました。
実際に目の前の作品を鑑賞して、生徒と同じ気持ちになったり、あるいは鑑賞を心から楽しんだりすることで、新たな考え方や授業に生かせるヒントとなっていると感じました。

③ トークラリー

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午後は府中市の中学生58名を招き、研修に参加した教員一人一人が持ち回りで“トーカー”となり、トークラリーを行いました。
子どもたちも最初は緊張した面持ちでしたが、会話を重ねるごとに笑顔となり、自分の考えを楽しそうに発表している様子が見られました。
トーカーとなった教員からも、
「自分たちが鑑賞を行ったときよりも子どもたちのほうが深く見ていて驚いた。」
といった意見も出ました。

④ 発表

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トークラリー後は、作品を前にしての振り返りを行い、11のグループが3分間の発表を行いました。
・意見がなかなか言えない、あるいは意見が出ない子に対して、こちらからとっかかりをつくることも大切である。
・五感を使って質問することで、考えが深まる。
・言葉や文章にすることが上手い子のほうが、成績が有利になってしまうのはどうか。
など、本日の研修を経て気づいた多くの事柄の発表となりました。

⑤ 指導講評

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講師:前 府中市立府中第五中学校校長 中村 一哉 先生
中村一哉先生より講義「これからの鑑賞指導と美術館との連携」について、本日の研修の指導講評をいただきました。

「美術館での対話による鑑賞の指導力の向上」を目指す研修を受けて、
1 次期学習指導要領の美術科の改訂の要点
(1)育成する資質・能力
(2)目標と内容の改善
2本日の研修とこれからの鑑賞の指導
3美術館との連携の進め方
の3点の視点から、次期学習指導要領の視点に立った鑑賞指導のあり方に対する理解を深める内容でした。

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最後に謝辞を板橋区立板橋第一中学校校長 増田裕子 先生よりいただき、1日目の研修は終わりました。