平成24年度 夏季研修②

美術館との連携教育
– 都美術館を活用する方法についてのケーススタディ –

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期日:平成24年7月23日(月)10:00~16:30
場所:東京都美術館 レクチャールーム


司会 足立一中 平岡

 

■挨拶

墨田区立両国中学校 校長 菊田 寛

昨日に引き続き、本日は東京都美術館を使っての研修です。私は道に落ちているネジなどを見て、「いったいこれは何に使われているのか?」等と想像することがあります。
一つの物を見て、様々な想像をしていくことが美術館との連携の中で生かされていくことを考えます。また、美術館をどのように活用していくのかを考える研修としたい。

 

■挨拶

府中市立府中第五中学校 校長 中村 一哉

鑑賞の授業を美術館との連携の中でどう組み立てていくかを考えたい。実際に美術館へ連れて行けなくても、学校の中での、「鑑賞授業」を作り上げていくことが出来るのではないか。そのような方法を美術の教師が学校の中から発信していく様な研修にしていきましょう。

 

■学芸員の紹介

東京都美術館 稲庭、河野、熊谷。西洋美術館 藁谷。近代美術館 一條の各氏

 

■稲庭学芸員より東京都美術館「アートコミュニケーション事業」について

「アートの入り口」訪れた人が新しい美術の価値に触れ「生きる場としてのアート」に出会える場所とする(とびらプロジェクト)を立ち上げた。受け身の教育普及ではなく,知識伝達と人と人をつなぐプロジェクトとしたい。美術館を使う市民が学芸員と共に考え、美術館との関わりを作っていく。専門家だけが中心になるのではなく専門外の人間と共につながっていくことを目的としている。*佐伯 ゆたか「わかる」と言うことはどういう事かからの抜粋を朗読。

 

■佐々木学芸員より「東京都美術館物語」について

本美術館と国立の他の美術館との違いは「コレクション」の無さである。
これを補うのは「コネクション」で勝負と考える。86年にわたる美術館の歴史を有名作家の作品をダイジェスト的に展示することで日本の美術史を要約することとができた。今回の展示を使って「授業」に反映して頂けるのは大変喜ばしいことである。

東京都美術館物語展の鑑賞をしながら鑑賞授業を考える。

レクチャールームに戻って「松本俊介の『立てる像』をつかった中学生対象のカメラを使った鑑賞授業」(神奈川県立美術館で行われた)DVDの鑑賞

 

昼食

 

■1:30よりグループごとに「鑑賞授業の指導案」作成

 

■2:30~グループごとに発表

1グループ
藤田嗣治の戦争画と私の夢を使う。
戦争画を生徒に見せてから「何が起きているのか?」と問いかけ戦争の状況を読み取らせる。
「私の夢」同じ作家の作品の作風の違いを感じさせ、この絵の主題が夢の内容を表しているのかまた、中心の裸の女性が見ている夢なのか語らせていく。
周囲の動物たちの表情や動きに吹き出しをつけて語らせる。じっくり見ることをさせる。

2グループ
美術館のパンフレットをアートカード風に利用して、事前学習、美術館にて鑑賞、事後指導の3時間の内容として考えた。
教室にて事前学習 アートカード風に作品の中から「私のお気に入り」を選ぶ。
美術館にて「お気に入り」の作品を見て教室で見たときとの違い、また、本物を見て異なる「お気に入り」の発見を語らせる。
事後学習ではワークシートに体験を書かせる。またそれらの体験を共有させる。

3グループ
美術館の社会に対しての成り立ちなどを生徒に伝える。
旧美術館と新美術館を写真で比較するなど。
また、展示されていた「小屏風」を使い何が描かれているか?どんな技法が使われているか?また、それらをグループ分けしてじっくり眺めて鑑賞を深めるなど。

4グループ
岡本太郎「森の掟」を使いVTSをする。そのあと、生徒たち自身で「よく見て」その細部のVTSを行う。また、作品の中の部分についてポップを書いてはる。実際に美術館へ出向けない場合は、学校の中で仮想美術館を作り鑑賞を行う。

5グループ
子供たちが作品を見ることによって自分と向き合う鑑賞にしたい。
ポスターを使ったり、美術館の歴史と自分の歴史とを重ね合わせる。好きな作品、気になった作品について語らせる。等も考えた。
日比野克彦の作品を使い、日常生活の中から自分の思いを切り取り制作させる。日常の中の美しさに気づかせる。段ボールを使っての制作は手軽であり日常生活の延長として、子供たちの生活の延長にある。14歳の揺れ動く感情を表現させ、日常生活の中の自分を見つめさせる。

発表のあと、松永指導主事の講評があるが、次の2点につて再考するように指示がある。
①学芸員との関わりについて。②評価の観点について

 

■検討後各グループより再び発表

1グループ
学芸員との事前の交渉、詳しい内容についての解説をお願いする。ワークシートを使用し生徒の意欲・関心などを評価する。

2グループ
美術館での話し合いでの補助、また生徒の感想など事後に伝える。常識の範囲での質問などを受け付けてもらう。主題は「お気に入り」を見つけることなので、見つけられればBまた、共通事項である、イメージ、色、形などの言及があればA等と考えられる。ワークシートを使いたい。

3グループ
美術館との交渉、小屏風の図版の準備を学芸員にお願いする。評価はワークシートに於いて行う。

4グループ
作品にポップをつけられるか。関心を持ってもらえるか等の相談を学芸員にお願いする。資料の提供、アドバイスなどをお願いする。評価については鑑賞に興味を持ったか、自分の言葉で語れたか、また、友人の発言を聞いてそれを自分で取り込んでフィードバック出来たか。

5グループ
学芸員に日比野の作品についてのレクチャーをしてもらう。生徒の制作が終わった後日比野本人に講評してもらう。評価は作品があるので4観点でつける。

 

■松永指導主事講評

2つの狙いが加味されて、各グループの指導内容が、より現実身を増した。評価の観点では生徒に何を身につけさせたいのかと言う事を考えてより深い鑑賞が成立するようになる。①狙いはないか ②年館指導計画に入れているを考えていきたい。

最後に2年前の西洋美術館での研修では多くの参加した先生方が、鑑賞する事を楽しんでいたが、それを生徒へフィードバックする視点がほとんど無かった。今回は狙い、対象、どのような方法によって鑑賞授業を成立させるのかと言う視点が明確にあり大変進歩があった。今回学んだことを先生方がそれぞれの地区で生かしてほしい。ここまでくるためには多くの先生方の努力の上に成り立っていることを感謝し、今後もお互いの情報を共有し合い連携の話し合いの機会を作ってほしい。

(記録 髙﨑 美也子)